分岐シナリオです。
よく事故で食べられます。



「おっはよー」
 そんな大音響で僕は目を覚ます。毎朝起こしてくれる幼なじみ大城なおが僕の目覚まし時計だ。
「うん……おはようなおちゃん」
僕は窓の外の巨大な顔に挨拶した。
「おはよ。こーくん」
再びにっこりとなおちゃんは微笑んだ。

巨娘族。大城なおちゃんはその一人で、普通の人間の何十倍も大きい。
女性の数コンマ%程度の確率で生まれてくるそうだ。
でも大きいってだけで可愛い女の子っ事は変わらない。吸い込まれそうな大きな瞳に艶のあるロングヘアー。唇も触れなくてもぷるぷるでみずみずしい。胸はちょっと控えめだけど僕からしたらおっきい。
「ねぇ……変なこと考えてない?」
「気のせいだよ。着替えからあっち向いてくれないかな?」
「あ……その前に……お願いがあるんだけど……」
 ちょっと顔を赤らめ言いにくそうに顔を伏せる。
「え……と。何かにな」
「朝ご飯のね……その、お魚さんの骨が喉に刺さって……気持ち悪くて……あのね……良かったらでいいんだよ? 抜いて欲しいなぁ……なんて」
「ああ。そんな事か」
 それぐらいお安い御用だ。成る程……制服がよだれでべとべとになっちゃうからなぁ。着替え前にならないと。
「い、いいの?」
「うん。前もやったよね」
「慌てて……食べてたからね……あ……歯は磨いてるけど臭かったら……ごめんね」
窓に大きな唇を近付けるなおちゃん。
「あ、あーん」
 景色が全てなおちゃんの口内に染まる。真っ白でなま暖かい、ちょっと甘酸っぱい臭いが漂ってくる。
「間違って飲まないでね」「うん……だいひょうぶ」 下唇を乗り越え、口内に入る。その瞬間、よだれが滴り落ちてくる。ねっとりとしたなま暖かいそれは徐々に溜まっていく。このよだれが嚥下されたら僕も一緒になおちゃんの胃袋に収まってしまうだろう。
「この辺りにはないよな」もう少し奥に進んで見る。慎重に足元に気をつけながら探る。
「……ま、ひゃ?」
 吹き付けてくる風と声に転びそうになる。
「喋らないでよ」
「ごめんなひゃい……あ」 振動に必死に耐える。本人に悪気はないのだろうが、人の命を握っていることは自覚して欲しいな。
「ない……もっと奥かな」
1 もう少しこの辺りを探す。

2 もっと奥にいく。


「もう少し探してみるか」 天井を見て見る。目を凝らしてもやはりないようだ。振り向くと入り口が少し閉じたり開いたりしてる。
「そろそろ出ないとまずいかも」
更に奥に進む。
「お……これかな?」
よだれに沈んでいるところにそれはあった。太い骨。確かにこれは痛いな……
「よいしょ」
骨を抜く。よし脱出しなきゃ。この位置じゃ吐いてもらえないだろうし。
ぐぱぁ……
「……え?」
何か粘ついた音をたて何が開く音。
ずずず……じゅるる
よだれが喉の奥へ流れていく。
「ま、まずい!!」
必死に逆らうが胸の辺りまで溜まったよだれの濁流に耐えられるはずもない。
開かれた食道への入り口にひきずりこまれていく。
「た 助け……!」
全て収まった所で無情にも入り口は閉ざされた。
「ん……ん……ん~……ごくん」
自分が飲み込まれる音を聞きながら僕はなおちゃんに丸呑みにされてしまった。

「うわああ!」
全身を揉まれながら落ちていく。落ちて収まる先は……
「そんな……」
 朝ご飯を消化中のなおちゃんのお腹の中だ。胃液が一番強力になってるとき……巨娘族は食べたモノをなんでもその胃袋で溶かしてしまう。僕なんかが数秒ともたないだろう。
「!」
一瞬中に浮きそして胃液溜まりに落下した。
痛いのは一瞬だけだった。凄い勢いで身体が溶けていく……
ああ……僕はなおちゃんの朝ごはんになっちゃったんだ……
なんか……変な気分……
僕は溶かされて栄養にされちゃうっていうのに……
でもなおちゃんの栄養になら……別にいいか

じゅうう……こぽこぽこぽそんな事を思いながら僕の身体はどろどろに溶けていった。

「ん……ぐ……ごくん」
 我慢出来ずに溜まった唾液を飲んでしまったなお。
何か……大きなものが喉を滑り落ちていく。
「ご、ごめんね……だいひゃいぶ……?」
口の中の感触が消えた
「あ……れ?」
舌で探るが彼は居ない。
じゃあ……さっきの感触は……
「こーくん……飲んじゃった?」
呆然とするなお。思わずお腹に手を当てる。その僅かに膨らんだ腹部からはきゅるるるーと食べ物を溶かし尽くした音が響くだけだった。

Bad End
なおちゃんに誤飲され胃の中で消化されてしまった。