今年もクリスマスがやって来た。
「でも俺、毒男(ドクオ)だし、関係ねえよ('A`)」
 さっきまでは、そう思っていた。

「メリー・クリスマス!」
 そう言って、俺の部屋に来るはずのない珍客が窓からおもむろに入って来た。
 しかもその珍客、どう見ても本物のサンタクロースと言うより、コスプレ!

「はぁい、ドクオ君は1年間、良い子にしてたかな?」
 コスプレ美少女サンタはそう言いながら、俺に近付いて来る。
 俺の視線は、ローライズの衣装に身を包んだ美少女サンタの臍に釘付けになった。
「サンタさん、外は寒いのに臍出しルックなんて、お腹壊さないですか」
「へーきだよ?」
 そう言って美少女サンタはニコッと笑った。
「ところで、プレゼントは持って来てないんですか」
 そう。この美少女サンタ、袋を持っていないのだ。つまり、良い子でない
俺はプレゼントをもらえない。そのこと自体は思い当たる節が多々あるので
納得せざるを得ないが、やはり残念だ。
「プレゼントって?」
「ほら、サンタと言えばプレゼントの入った大きな袋を持ち歩いてるのが定番だし」
「ああ、袋ね」
 俺の突っ込みに対し、美少女サンタはポンと手を叩いて何か思い出したようだ。
「あるよ?」
 いや、どう見ても持ってないし。袋。
「ここに」
 美少女サンタは、そう言いながらローライズで露出した臍の真上を指差した。
「それは、プレゼントの入った袋じゃなくて、胃袋じゃ……」
「それじゃ、そろそろ、いっただきまーす」
 次の瞬間、俺の全身は物凄い勢いで美少女サンタの口内へと吸い込まれた。

 ゴクンッ

「あーおいしかった」
 哀れ、美少女サンタの胃袋に収まった毒男は胃の中で「今度こそリア充に
生まれ変わってやるー」と恨み言を発しながら消化されて行き、やがて
彼女の体の一部となるのであった。クリスマスの朝、美少女サンタは
お腹をさすりながら一晩で食べた毒男の人数を指折り数え、静かにつぶやく。
「メリ胃・クリスマス」

(終)